スピーカーエンクロージャーの材料について②

 昨日に引き続きエンクロージャーの材料についてです。エンクロージャーの材質で現代一番高価なものは、無垢板等特殊なものを除くとやはり両面サンドかけしたマリンプライウッド(米松合板)でないでしょうか。この材料は、19ミリの7層合板で、表面裏面は、節がほとんど無く、心材も節が少ないものを使用しています。本来は、ヨットや船舶用で耐水性も兼ね備えたソリッドな材料です。しかしJBLは、とっくの昔から米松合板は、エンクロージャーに使用を止めていました。
 JBLのエンクロージャーの設計図に材料が表示されていますが、私が見た最古のものは、1950年代後期のハーツフィルド後期型の図面です。そこには、もはやPLYWOODの部品は少なく、ほとんどTimblendと表示された19ミリ厚の材料でした。これは、聞きなれない言葉ですが、調べたところパーティクルボードのことのようです。前期型のハーツフィールドは、時々オークションで見ますが、米松合板製です。
 後期型は、1959年ころですから、このころからJBLは、音質とコストを考慮し早々にパーティクルボードに変更していったようです。1958年から販売が開始されたパラゴンもほとんどが、パーティクルボードで作られました。同時期のメトロゴンも同様です。それからは、最近10年は詳しくわかりませんが、MDFが多用されていると聞いています。このように音が良いといわれている米松合板は、意外と過去の名機には使用されていないことがわかります。 しかしオール米松合板の箱で朗々とJBL38センチユニットを鳴らしたいものです。