店長&スタッフ日記

1348

冊子のカタログの発行は、2015年4月を最後に行っていません。

2015年からパーツ点数は更に増加して、既に500~600種類になっているのではないかと思っています。

扱ったパーツはすべて撮影して、サイズ・重さなど実測して詳細図をデータ化しています。

今後の方針として、冊子カタログを廃止して、すべてのパーツをネットページ で表示して販売いたします。

 順次商品点数を増やしています。

 まずダンパーから商品点数を増やしています。

暑いなか、パーツカットは続いています。 

JBL オリジナル図面で指定されている、やや特殊な接合方法で必要なロックマイタービット使用いたしました。

大きいルータービット で、騒音がかなり大きいですが、予定通りにカットいたしました。

 

マリン米松合板は、パーチクルボードよりも、繊維質が多いため、刃の抵抗が有りましたが、思うようにカット出来て満足です。

新しいルーターとルーターテーブルのおかげです。

マリン米松合板をシャープにカットしています。

その他のパーツです。 パーツカットの精度は高く、殆ど同じ寸法です。 

小型の手にもって使用するパームルーターも先日アメリカで購入しました。 以前は、1馬力のボッシュのルーターでしたが、

力不足を感じ、この1.25馬力のデウォルトトリマーにアップグレードしました。 先端の刃物が同じものでも、明らかにカットが

シャープに出来ます。

 

このように、ササクレが出やすい米松合板もキレイにカットできます。

米松合板の加工用に新たにルーター テーブル 導入しました。

今年の1月末にアメリカで購入したものです。

ルーターテーブルトップとルーターを購入しました。

下のフレームと棚を自作しました。

気持ちよく米松合板をカット出来ればと思っています。

ルーターを手に持って作業するのと、ルーターテーブルで作業することは、基本的に同じなのです。

しかし3.25馬力で約8キロの高速回転するルーターを手に持って安全に正確な作業することは難しい

ので、テーブルに固定して作業するのです。

 

テーブルトップは、MDF製です。 キャスターを取り付けて移動は容易にしました。 ルーターは、3.25馬力のもので、

ルーターテーブル専用の機種です。

以前は自作のルーターテーブルを使用していましたが、これはかなり使い易いようです。

ロックラー社製です。 木工業界では有名な会社です。

テーブル裏側です。

バッフル板のウーハー用開口を切り取りました。

予備用バッフル板も含めて多めに、カットしました。 約34センチ口径の開口ですから、切り取った材料も相当な量になります。

19ミリ厚の米松合板とパーチクルボードが混在していますが、米松合板製とパーチクルボード製のパラゴンレプリカを制作

予定しているためです。

一見同じ様に見えますが、左右で形状が異なります。

こちらは、右ボックス用のバッフル板です。一見して強度が弱そうに見えますが、ボックスに組み込む際に上下左右の他のパーツと

確り接着して強度が万全になります。

毎日暑いですが、工房の中は、鋸での切断から出る埃も加わって更に過酷な状況です。

直射日光が当たらないので良いのですが、8~9月中の暑さの作業はやはりたいへんな労働です。

一日中、テーブルソーでパーツカットしています。

歩留まりを考慮して大きいパーツから順にカットしています。

 

 

 

 

カットした パラゴンレプリカのパーツです。 材質は、19ミリ厚 船舶用 米松合板、19ミリ厚パーチクルボード、ハードボード、 国産ラーチ合板等です。 今回は、主要材料として米松合板を使用したレプリカ2種とパーチクルボードを使用したレプリカ1種の計3種類のレプリカを製作する計画です。そのため同じパーツでも米松合板とパーチクルボードが混在しているのです。

 

 

 

奥に立てているパーツは、リフレクター板のものです。これから曲げます。 大きさは、180㎝X75㎝です。 仕上がりは3枚重ねで厚さ約10ミリになります。 手前は幅の狭いパーツが、リフレクター板に上部に取り付けるものです。これも同様に曲げます。

 

 

 

こちらは、左右のボックスの壁を一部構成するインナーホーンのパーツです。 こちらも曲げます。大きさは、165㎝X61㎝です。 仕上がりは4枚重ねで厚さ約13ミリになります。

米松合板が入荷して、早くも10日経過しました。

大判(122㎝X244㎝)では、作業性が悪いので約半分(122㎝X122㎝)にカットしてパーツカットしています。

122㎝X122㎝にしてもそれでもまだ大きいので、テーブルソーでカットするには苦労します。

 

中央の青い柱の左に立てている板は、側板(外側)です。 右側に重ねているパーツは上から側板(センター)、裏蓋、バッフル板

です。 米松合板と、パーチクルボードが混在しています。 バッフル板は、ウーハー用の開口開けなどの工程が残っています。

米松合板をクロスカット(横切り)したところです。 希少な米松合板を使用しますので、シャープな鋸でカットしています。

なるべくササクレないように注意を払って作業しています。

 

 

JBL LE8T用 ホワイトウレタンエッジを来週から販売開始いたします。

 このホワイトエッジは、JBL のランサロイとは、異なりウレタン製です。

販売前に3か月間、当社のJBL 2115に取り付けて試聴を繰り返しました。 

特に問題が無かったので、販売を開始いたします。

音質は、通常のウレタンエッジと差がありません。

柔らかいウレタン製ですので、短期間のエージングで お手持ちのLE8T等になじむと思います。

 

新製品 の型番は、SF JBL  WHITE LE8 です。

ホワイトコーンにホワイトエッジの組合せも販売いたします。サイズ等のスペックは、従来のウレタンエッジと変わりがありません。

JBL 2115に取り付けて、試聴いたしました。ボリュウムを上げて大音量で試聴も行いました。約3か月間試聴いたしましたが、

特に破綻などありませんでした。

ホワイトウレタンエッジの質感は、ソフトで弾力が有ります。

米松合板が入荷して約1週間経過しました。

その間にパラゴンレプリカのパーツ用に米松合板をカットしました。

初めて本格的に使用した材料なのでそのインプレッションを述べてみます。

1 合板の等級(グレード)のバラツキについて  

今回入手した19ミリ厚マリン(船舶用)合板について品質のバラツキが有りました。

同じ規格のグレードの合板ですから、品質は均一と思われますが、優秀~可まで、一括りの中には有ります。

3段階で分けると優が20% 良(普通)が60% 可(少し劣る)が20% くらいではないでしょうか。

 優は、表面の殆ど補修痕が無く美しい木目が出ているものです。

良は、節の補修痕はありますが、隙間や割れが殆ど無いものです。

 可は、良に比べ隙間や割れが少々有りますが、実用上問題ないもの。

 

写真は、特に天板用にセレクトした優の合板です。補修の痕が見当たりません。

残念ながら、この木目は、ウォルナット突板を貼るので隠れます。

 

2 米松合板はデリケートな材料です。ササクレし易い材料です。

 パーチクルボードでパラゴンレプリカを制作してきましたが、米松合板は、特にデリケートな材料です。 

表面が柔らかいので キズが付きやすく、端はササクレが出やすいのです。

 パーチクルボードを手荒に扱ったわけではありませんが、米松合板を同じように扱うと、残念な仕上がりになると思います。

 鋸の歯が、ササクレを起こさないように、カットしなければなりません。

 

3 米松合板は、軽く粘り(ばね)を感じる素材です。  

パーチクルボードは、重く、しなやかさに欠ける素材です。

 つまりパーチクルボードは、しなやかに曲がるとは言い難い、ガッチリとした材料です。

それに対して米松合板は、軽く、曲がり易いが、粘りがあり、復元力があるようです。

全く違う二つの材料ですが、パラゴンレプリカの箱になったとき、音質に大きな差が出ると思います。

 

4 19ミリ厚マリン(船舶用)合板の中層は、米松べニア(薄板)です。  

19ミリ厚マリン(船舶用)合板は、7層の米松べニア(薄板)の木目を直交させて貼り合わせつくられています。

各薄板のグレードは、B級以上です。

従って、米松は節穴が割合多い素材ですが、B級以上の薄板を使用しているので、合板自体がソリッドに仕上がっています。

 

このように7層の薄板で作られています。

酷暑の中、遅れて入荷した米松合板(19ミリ厚)24枚を粗カットしました。

熱中症になることが心配でしたが、工程上、この作業は一度に行いました。

 非常に高価な米松合板を一度に大量にカットすることはめったにないことです。

9台分のパラゴンレプリカの材料カットです。244㎝X122㎝の大判から約半分に粗カットして、工房に入庫しました。

ただ半分にカットしているのではなく、材料無駄を極力排除した板取を考慮した上のカットです。

同時に天板・側板・底板など、見える箇所の材料は、無節や補修無しの合板をセレクトしました。

今回の19ミリ厚米松合板は、船舶用で最高のものです。

素材の米松は、天然のものですから、完璧な品質のものは無く、良いものや少し悪いものなどばらつきが多少有ります。

そこで、適材適所を1枚1枚考慮してカットしたのです。

 

 

約122㎝X122㎝の合板が48枚有ります。次にこの半分にカットです。約122㎝X122㎝の大きさでは、テーブルソーでカットするには

大きいので更に小さくカットします。

既にカット済みのパーチクルボードも合流させて同じ形状のパーツを製作します。

19ミリ厚パーチクルボードの244㎝X122㎝の大判の重量は、約40キロですが、

19ミリ厚米松合板は、約30キロです。従って米松合板の方がかなり扱い易いです。

そうなんですが、表面裏面ともに美しい木目が出ていますので、慎重に丁寧に扱っています。

表面がA級、裏面がB級の米松べニア(薄板)を使用しています。A・B級のべニアは全体的に、補修のあとが数か所

有りますが、節はありません。奥に節の目立つC級べニアが見えますが、その差は一目瞭然です。

天板用合板です。参考として左にパーチクルボードを置いています。この合板はパッチ(補修箇所)や節穴は、皆無です。

天板用米松合板の拡大写真です。この上に突板を貼りますので、完成品は、この美しい木目は隠れてしまいます。

完成品で米松の木目がハッキリ見える箇所は、底板のみになります。Sマークは、セレクト、P0は、パッチ(補修)ゼロを意味

します。

 

 

今年の1月末にアメリカで現地調達した米松合板が配達されました。

約半年も費やしてやっと届いたので感無量です。

米松合板は、ツーバイフォー住宅に使用されていますが、それは建材グレードであり、スピーカー制作には不向きです。

 過去20年くらい前からスピーカー制作用の米松合板は、市場に殆ど流通していません。

やはり輸入が難しいのと、現地での調達が難しいことが、日本での少ない流通の理由だと思います。

 今後、米松合板を使用してパラゴンレプリカを制作することを計画していますので、そのことについて日記をアップいたします。

 

船舶用合板19ミリ厚です。この19ミリ厚の合板の流通はごく少ないです。流通しているものは、ほとんどが18ミリ厚です。

表A級・裏B級・芯材B級の米松材を使用したでソリッドな合板です。なおA・B級材はかなり良質な素材です。

マリングレードの米松合板は、グッドツーサイドと呼ばれ、表裏両面とも仕上げ用のため小口にこのようなスタンプが

押されているだけです。

A級米松べニアを使用したの表面です。目につく節は皆無ですが、パッチの痕は、数か所有ります。

これは別の種類の合板で通称ACサンドです。 別名グッドワンサイドと呼ばれます。裏面のスタンプです。

裏面には節穴が数か所有ります。 

 この3連休は、たいへん暑かったですね。

 西日本豪雨の被災者並びに自衛隊・地方自治体・警察・ボランティアの皆様にお見舞い申し上げます。

毎日暑いので、作業には十分お気を付け下さい。  

 パラゴン レプリカの制作は、ぼちぼち進めています。天板と底板を大判(244㎝X122㎝)のパーチクルボードからカットいたしました。

今後の作業効率を上げるために必要なルーターテーブルのフレームだけ製作いたしました。

 

冷房の効いた部屋ではありませんので、天板と底板のカットは、重労働です。

ルーター作業が多いです。重いルーターを手に持っての作業は、危険であるし、カットの正確性も劣るので、

ルーターをテーブルに据え付けて作業しようと考えています。そのためにレーターテーブルのフレームだけ製作いたしました。

これに、ルーター専用のテーブルを上に取り付ければ、とりあえず完成です。

 この度の集中豪雨で被災された皆様に深くお見舞い申し上げます。洪水で流れ込んだ土砂を見て、今後の復興作業を思うと胸が痛みます。

さて、工房の清掃とゴミの廃棄をパラゴンレプリカ製作を同時に行っていますので、あまり進捗していません。

 工房は、かなり整頓されて、本格的な製作に準備が整いつつあります。

 先週に、ハードボードが入荷しました。

 これは、リフレクターパネルに使用する材料です。

オリジナルのパラゴン設計図に使用するよう指示されています。

 

リフレクター板の大きさにカットしています。

左奥に入荷したハードボードを置いています。

こちらは、19ミリ厚のパーチクルボードです。これだけで、20枚400キロもあります。ここまでの部材移動だけでもたいへんです。

今後、パーツを切り出します。 歩留まりは、80%くらいで、20%は、廃棄になります。

パラゴンには、米松合板、パーチクルボードほかに米松材のパーツが使用されています。

例えば、底板と側板を強固に接合するためにグルーブロックが使用されますが、 それが米松材です。 

また、裏蓋は、木ネジで取付ていますが、開け閉めでネジの保持力が損なわれないように、ネジが刺さるところに米松材を使用しています。

使用されている米松材の多くが厚さ19ミリ(3/4インチ)です。

アメリカではないので19ミリ厚の製材品など入手できないので、工房で製材しています。

複数台のパラゴンレプリカを制作する場合に大量に米松材が必要になるので19ミリ厚に製材いたしました。

19ミリ厚の製材品がすべての基本でこの材料から、各パーツを簡単にカット出来るのです。

 

大量にありますが、歩留まりはおそらく60%くらいだと思います。

長さ順に並べたところです。

 

下記の新製品が入荷致しました。 近日中に販売開始いたします。 もしお急ぎの場合は、お問い合わせください。

 

毎日梅雨らしい湿った天気が続いています。毎日、19㎜厚の米松材を切り出して鉋掛け等行っています。

並行して米松合板の木取り図を作成中です。

パラゴンレプリカの複数台分のパーツを一度にカットするので重要な作業になります。

木取りというのは、合板のサイズ2440㎝X1220㎝内で無駄無く材料を使用するためにパーツカット用の配置図です。

これまでパーチクルボードでは、かなり自由に縦横関係なくパーツの切り出しが出来ました。

しかし、合板の場合は、木目があるので、縦横自由にカットすることは出来ないのです。

合板は、通常奇数枚の薄板を交互に交差して貼り合わせています。(偶数枚の薄い合板ですが稀にあります。)

従って表裏の木目の方向は、強度があるのです。

パーツを切り出す場合に、長辺方向に木目が流れるようにカットしなければいけないのです。これは、木工の鉄則です。

合板には、この特徴があるのでパーチクルボードよりも木取りが制約されて歩留まりが悪くなりがちで、木取りが重要なのです。

 

 今回、輸入した19㎜厚の米松合板は、比重0.53です。パーチクルボードは、比重0.65です。

米松合板の方が18%くらい軽量ですが、曲げ強度は、比重に反比例して優れています。

表面硬度は、パーチクルボードの方が硬いです。米松合板は、外力に対して粘りがありますが、パーチクルボードは、表面は硬いが、脆いということになります。

木ネジの保持力も米松合板 の方が優れます。

米松合板でパラゴンレプリカを制作した場合、10~15㎏程軽くなると思われます。

このように米松合板は、パーチクルボードとは、全く違う特長の材料です。

米松合板を使用した場合、どのようなパラゴンレプリカになるか非常に楽しみです。

この「米松合板とは」のシリーズは今回で終わりとさせて頂きます。

 

 現在使用しているJBL LE8-1のバスレフ箱です。12㎜の国産カラマツ合板を2枚貼り合わせて24㎜厚のボックスにしました。

42リットルの容積です。自家用ですので、つい鉄則に反して、側板を短辺方向に木目が流れるようにカットしてしまいました。

内部には、米松角材で補強を入れていますので、特に音質には影響しないと思います。

カラマツ合板は、構造用合板で建材グレードで、非常に安価です。 近くのホームセンターで、セレクトさせてもらったので

幸運にも節が表面にないものを入手出来ました。溝切して木ネジと接着剤で強固に組み立てています。

先日、あるお客様から次のご要望がありました。米松合板を使用したパラゴンレプリカについて、費用対効果も考慮する為に本当に音質がどうなるか知りたいということでした。

さらに、音の傾向を知りたいので、プレーンバッフルを制作して米松パラゴンの音の傾向を教えて欲しいとのことでした。

 私も、米松合板で制作されたパラゴンを試聴したことはありません。

音質の違い等を自信を持ってお答えできないので、米松合板でプレーンバッフルを製作して試聴することは、今後のパラゴンレプリカの販売に 有益と思いました。

しかし、資金や時間に余裕があるわけではなく、プレーンバッフルの制作まで手が回らないのが実情です。

 そこで、大昔のステレオサウンド誌で製作された米松合板製のプレーンバッフルの記事中で、その音の傾向を紹介していますので、その記事から抜粋してご紹介いたします。

ステレオサウンド誌 41号  マイ・ハンディクラフト 15”スピーカー用プレーンバッフルをつくる

この記事の概要

★桜合板によるプレーンバッフル  

35㎜厚の桜合板を使用し120㎝X120㎝ のバッフル板に桜材の角材(40㎜X55㎜)を補強材として使用したもの。

この桜合板のプレーンバッフルでタンノイやアルテックを試聴したところ予想以上の響きの良さが感じられた。

そこでこの良い響きは、桜材によるものかまたは、プレーンバッフルの特質なのか見極めるために、JBL・アルテックなどのエンクロージャーでかつて使用されていた響きのよいことで定評のある米松合板を使用したプレーンバッフルを製作した。

★米松合板によるプレーンバッフル

32㎜厚の米松合板を使用し120㎝X120㎝ のバッフル板に桜材の角材(36㎜X72㎜)を補強材として使用したもの。

なお、合板の厚みですが、19㎜厚と12.7㎜厚の米松合板を接着したものを使用した。

SS誌の試聴室で プレーンバッフルに造詣が深い長島達夫氏と山中敬三氏 が試聴してその結果をコメントしている。

〇タンノイHPD385Aでの試聴結果

編集者:タンノイHPD385Aを米松合板にマウントした状態の音は如何でしたか。

長島:音像の定位や奥行感などは、桜材のプレーンバッフルと基本的に変わりはありません。

しかし響きがまるで変ってしまい、音がもっと明るく軽快になったと思います。

山中:音が単音になると言ったらおかしいですが、桜材のプレーンバッフルの場合は、音にハーモニクスがのってひとつの響きをつくりあげるという印象があったのです。

米松材のプレーンバッフルでは、スピーカーユニット自体の持つキャラクターがもっとストレートに出てくるように思います。

HPDになってからのタンノイは、コーン紙の質量がかなり重くなっているためか、コーンのファンダメンタル領域に独特な癖があるにですが、それがより強く出ていたようです。

長島:この前の桜材のプレーンバッフルで同じHPD385Aを聴いたときは、新品のタンノイとは思えないような滑らかな高域が出て驚いたのですが、米松材のプレーンバッフルでは、新品の状態のタンノイ本来の音がそのまま出てきたように思います。

山中:タンノイのオリジナルエンクロージャーは、桜材のプレーンバッフルと同じ様な響きを持たせているように思います。

 音に共通性が感じられるのです。ところが、今度製作した米松材のプレーンバッフルで得られた音は、タンノイを使った既存のスピーカーシステムで言えば、ロックウッドのイメージに近いように思いました。

〇アルテック604-8Gでの試聴結果

編集者:アルテック604-8Gを米松合板にマウントした状態の音は如何でしたか。

山中:アルテックらしい明るい音色が十全に生かされていると思います。

バッフル板のサイズが120㎝X120㎝ですからファンダメンタルズはどうしても不足気味で、全体としては全体的にハイ上がりの傾向の音です。量感としては足りなくても出てくる低域のクォリティは素晴らしいものです。

長島:アルテックの持っている中域のエネルギー感が非常にストレートにスパットと出てきて、アルテックらしい強さが感じられます。

山中:バッフル自体が非常に強固でスピーカーユニットからのエネルギーに 強烈に反発して効果的に響いているのが実感できる音ですね。生き生きしていて伸びのあるいい音ですね。

〇その他、この記事中の編集者等の米松合板バッフルについてのコメント

米松合板製のプレーンバッフルは予想通りスピーカーユニットのキャラクターをより素直に出してくれたが、補強材の入れ方や設置の仕方に注意いなければならない。

この記事の内容から米松合板の音質は、明るく軽快な響きで、スピーカーユニットのキャラクターをストレートに表現する傾向のようです。

左が米松合板のプレーンバッフル、右が桜合板のプレーンバッフル

上が桜合板のプレーンバッフル、下が米松合板のプレーンバッフルです。補強材の使い方が違います。

 流通している米松合板の厚さについて説明します。

かつてJBLは、1950年代後期から60年代初頭にかけてパラゴン、メトロゴンの設計図を販売していました。

そこに記載のある殆ど合板・パーチクルボード等の厚さは、3/4インチ(19㍉)、1/2インチ(12.7㍉)です。

しかし、制作用に同じ厚さの合板を入手したいのですが、困難になっています。

実際には、殆どこの厚さのものは、販売されていないのです。

厚さが、1ミリも異なれば音質にも影響しますので、入手容易な合板を使用したくないのです。

アメリカの市場で、なぜ希望する厚さ(19㍉)の合板が少ないのか簡単に説明いたします。 

更に複雑なことに、厚さの表示には、2種類あります。

NOMINAL (表記上の、額面の、名目の、名称上のという意味 以下ノミナルと表記する )と 

ACTUAL(実際の、現実のという意味 以下アクチュアルと表記する)の二つです。

 実際に、3/4インチ厚(19㍉)と店頭で表示があっても、23/32インチ(18㍉)であることが殆どです。

初めから23/32インチと表示している場合も多々あります。注意して合板を選ぶ必要があります。

なぜノミナルとアクチュアルの表示があるのかは以下です。

 

1 木材製品ですので、製造したときの厚さから店頭に並べ頃には収縮して薄くなるため、このような表示にしている。つまり製造したときは、19㍉厚でしたが、ユーザーが使用するときは、18㍉厚になっているということです。このようなことは実際に過去にあったと思いますが、乾燥材を使用している現在では、当初から18㍉厚で製造しているはずです。歴史上の慣行が現在も残っていると思います。

 

2 サンド掛けのために薄くなるから、ノミナルとアクチュアルの表示があるという説です。 つまり19㍉厚で製造したが、表裏面にサンド掛けしたために18㍉厚になるということです。

 

3 ほかにも、木材が原料なので、表面に多少の凹凸があり19㍉厚で製造しても1ミリ程度余裕を見て、最低保証値として18㍉で表示しているとの説もあります。

 

合板製造には、100年以上?の長い歴史があり、流通の便宜上ノミナルとアクチュアルの表示が業界で慣行になったようです。

参考までに、収縮のない材料で製造された、MDFやパーチクルボードは、単純明快でアクチュアル表示のみで19㍉厚等のものが

販売されています。

 ところで、日本では、アクチュアル表示のみで一目瞭然ですね。

私が、オーデイオに興味を持った1970年代後期頃には、19㍉厚(アクチュアル)の米松合板が、日本でも流通していた覚えがあります。

しかし現在 では、アメリカでも18㍉厚(アクチュアル)が主流で、19㍉厚(アクチュアル)のものは、殆ど流通していません。

だから、アメリカのビンテージスピーカーを製作する場合は、材料調達で非常に苦労しています。

 

ABサンドとACサンドの厚さ(アクチュアル)が表示されていますが、このうち、3/4、1/2インチの合板の流通は非常に少ないので

ご注意下さい。

スピーカーボックスに使用できるAPA(アメリカンプライウッド協会)の認定した米松合板について述べます。

 一般的に建材用の米松合板は、サンド掛けされていないので、表面が平ではなく、オーディオ用としては不向きです。

サンド掛けされていれば、突板を貼ったり、ペイントできます。また、接着剤の付きも良いです。

米松合板には、必ずAPAのスタンプが押されていますので、スピーカーボックス制作に相応しい米松合板を紹介いたします。

 

マリン プライウッド 

米松合板の最高峰です。 この合板は、表面・裏面・中芯材まですべてBクラス以上の米松(ウエスタンラーチを含む)

で製造されています。

唯一、米松100%なのです。 このマリンプライウッド以外の合板は、中芯材は、他の針葉樹を使用することが許容されています。

しかし、マリンプライウッドは、表裏面・芯材ともにB級以上の米松べニア(薄板)で製造されなければいけないのです。

中芯材の節穴等の大きさは、厳しい基準が課せられています。つまり節穴は殆ど無いのです。

このスタンプは、、表面・裏面ともに仕上げグレードなので、エッジにスタンプが押されています。

表面・裏面ともに A 級のべニアを使用 屋外使用可能な接着剤使用 です。 000は、ここに認定工場の番号が入ります。

PS 1-83は、米国商務省の合板製品規格です。ただし現在は、改編されてPS1-95になっています。

 基本的に、中芯材まで節穴が殆ど無いので、合板がソリッドです。これでスピーカーボックスを製作した場合、

良い響きになるのではないかと思います。今回は、この合板をアメリカより輸入しました。

 

 

 

ABサンド・ACサンド

表面にサンド掛けされたグレードです。これは、建材グレードではなく、家具・造作等に使用する合板です。

中芯材まですべて、米松を使用しなくても良いことになっていますので、米松100%の合板ではないようです。

 割合入手可能で、値段も中庸で使用しやすい合板です。 中芯材の節穴等は、ある程度許容されています。 

上が英語版、下が日本語版です。 今回は、このACサンドも輸入しました。

 

かつて 日本語版のAPAパンフレットがありましたが、現在合板の比率が下がってきたので、このパンフレットは、廃止になった

ようです。

 

 

スタード・アイ・フロアー

これは、床材用の建材グレードですが、表面はサンド掛けされているのでスピーカーボックスに使用可能です。

厚さが最大で28㎜のものがありますので、大きいボックスにも使用可能です。建材グレードといっても品質が劣るというものでは

ありません。表面は、Cプラグド級です。 節穴は、合成樹脂材で埋められてサンド掛けされています。

床用合板ですので、一体性を確保する目的でさねはぎ加工されています。

中芯材まですべて、米松を使用しなくても良いことになっていますので、米松100%の合板ではないようです。

 割合入手可能で、値段も中庸で使用しやすい合板です。 中芯材の節穴等は、ある程度許容されています。 

私は、この合板で、巨体のDD55000 エベレスト レプリカを制作しました。 この厚い板を使い、なるべく振動を抑えた

強固な設計にしました。

 

この28㎜厚米松合板で製作した、DD55000 エベレスト レプリカです。 側板は2枚重ねで56㎜あります。

この箱は、米松材の補強も多く入れているので、重さ約150キロ以上(ユニット含まず)です。

ウーハー用のバッフル板には、無節のセレクトした合板を使用しました。

 

以上 合板の説明でしたが、説明文中に出てきた 米松べニア(薄板)の等級についての説明です。

一般的に言って、A級べニアでも日本人から見れば普通のグレードです。数か所に節穴の補修があります。

全く欠点がないというわけではありません。

やはりアメリカ製ですから、少し大雑把な面がありますのでご留意ください。 むしろ、フィンランド バーチ合板等の方が

丁寧に製造されている感があります。 

  補足として、A級べニアの上にN級という等級もあります。 欠点がごく少ない優秀なグレードですが、市販された合板を見たことが

ありません。

 

 

 

 注文した米松合板は、船に載って順調に航海してアラスカ沖まで来ています。

船のスピードが15海里となっていますから時速27キロということで相当遅いですね。

次の寄港は、釜山港でコンテナを下ろして小さい船に積み替えして、門司港へ運びます。

 前回は、アメリカで生産されている合板の業界団体について簡単に説明しました。

このAPA(アメリカ合板協会)は、当初米松合板(ダグラスファープライウッド)の業界団体でしたが、近年では、環境保護・資源再利

用・技術革新等から多様な合板類を扱う業界団体になっています。

ここでは、スピーカーボックスに使用可能な米松合板にフォーカスします。

今回は、米松合板に使用される樹種です。 実は、通常流通されている米松合板は、100%米松(ダグラスファー)製ではありません。

表面裏面が米松でも芯材まで米松を使用するように製品規格(PS 1-95)は要求していないからです。

つまり殆ど米松合板の芯材が米松をしなくても良い規格で製造されているのです。

APAは、建築・工業用合板に関する米国商務省のPS 1-95の合板規格に準拠して製造されていることの証明で製品にお墨付きのスタンプを押しているのです。

 ただし100%米松製の合板も販売されていますので今回輸入しました。このグレードの合板は、次回以降に説明します。  

樹種ですが、下記の通り強度順に分けています。

この表は、米国商務省の合板製品規格 PS 1-83の樹種区分です。

約70種の樹種を曲げ強度・剛性にに基づき5つのグループ分類しています。

最も強度のある樹種をグループ1として以下2・3・・・と弱い樹種に分類しています。

APA合板のスタンプには、どの区分の樹種なのかグループ番号で表示されています。

 

下記がAPAのスタンプです。 表面A級 裏面C級 屋外用 サンド掛けされた米松合板のスタンプです。

このグレードは、建材用ではなく、家具、造作、工業製品等向けです。通称ACサンドといわれています。

そこに表示されている グループ1が米松とそれに類する樹種を使用した合板であることを示しています。

樹種区分表です。 グループ1から5まで、約70種の樹種を強度等順に区分けしています。

表 まずグループ1の樹種の説明です。(すべてにコメントしていません。)

アピトン・・・南洋材で木製ホーンなどで使用されます。有名なところでは、パイオニア EXCLUSIVE(エクスクルーシブ) model 2402の ボックスにアピトン合板が使用されていました。非常に重く強度があります。しかし、けっして高級な素材ではありません。その対腐朽性から枕木等に使用されています。

バーチ・・・高級スピーカーボックス用で使用されています。バーチ合板は、扱ったことがありませんが、製品のばらつきが少ないようです。密度が高い合板で、製品としては、米松合板よりもグレードが高いと思います。

米松1(ダグラス ファー)・・・あの独特の木目の樹木です。堂々とした樹高80メートルになり、生産量、強度も針葉樹では、ナンバー1の樹木です。

全体的にオレンジ色の赤みがあり、持つと重く確りした印象の樹種です。

木肌は、ヒノキのように緻密ではなくやや粗いです。年輪が明確に出ています。

産地によりばらつきがあり、優秀なものは、非常に重く強度が大です。

乾燥したものは加工性が非常に良く反りなどが少ないです。

ダグラス ファーと呼ばれるのは、1700年代後半にデビッド ダグラスという植物学者が発見したからです。

ファーとは、松ではなくモミ類です。

米松1となっているのは、産地による強度分類によるからです。

米松1は、ワシントン・オレゴン・カルフォルニア等で育成分です。 

 

ウエスタン ラーチ・・・日本でもラーチ(唐松)合板として販売されているのでコメントします。

アメリカでは、米松とこのウエスタンラーチは、同等に扱われています。 

つまり、樹種は違うのですが、外観、強度などが見分けがつかないくらい同じですから同様に扱われているのです。

しかし、圧倒的に米松の産出量が多いのでラーチの比率は少ないはずです。

日本のラーチとアメリカのそれの比較ですが、樹種の違いは遺伝子検査の結果を見たわけではないのでわかりません。

しかし、育成した産地の気候条件で大きく樹木の品質が変わります。

一般的にアメリカの方が、大きいい木を伐採しているとおもいます。 

ウエスタンラーチは、米松の育成地域とは、異なりオレゴン東部・ワシントン東部・アイダホ・モンタナとされています。

 米松よりも小柄な木で樹高60メートルです。

日本で販売されているラーチ合板は、建材グレードですが、価格も手ごろでコスパが高いと思います。

ホームセンターなどで、選定させてもらえば良い木目の合板も入手可能です。

ただしサブロク版で小さくて木取りの効率が悪いことや、希望する厚さが無いことが難点です。

 

サザンパイン・・・これも外せない樹種です。

ロブロイ・ロングリーフ・ショートリーフ・スラッシュの各パイン(松)材の総称です。

これは、アメリカの南部の樹種で、黄色いので、サザンイエローパインとも表現されます。

これも米松と並ぶ優秀な樹種です。全体的に黄色く、木目が明確で、重く強度があります。

アメリカ西海岸では、米松材は主流なので殆ど流通していません。

当方の地元に城島遊園地にジュピターという木製ジェットコースターがあります。

それがこのサザンイエローパインで作られています。

完成して30年くらいになりますが、現在も稼働しています。

乗ったことがありますが、カタカタと音が出てスリルがあります。

薬品加圧注入していると思いますが強度がある樹種です。 

なぜ名称がジュピターなのかですが、英語訳は、木星ですね。お分かりだと思いますが、素材は、木製です。  

グループ2以下は、省略いたします。

ただし、グループ2の米松2は、ユタ・ネバダ・コロラド・アリゾナで育成した米松が該当します。

この産地の米松は強度が劣るということになります。